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川越氷川神社本殿 [川越]

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おお、江戸のバロック!

「日光を見るまで、けっこうと言うな!」

とはよく言ったものである。

しかし、日光はけっこう遠いので、川越の氷川神社で満足する人もけっこう多い。

ということで、宗男はあまり知られていない川越の氷川神社探索を決行(けっこう)した!(笑)


洋の東西を問わず、人間の欲望は「標準」から「過剰」へと移行する。

はい。

これがバロックである!

お腹の出っ張りも同じことで、知らず知ら腸内環境は善玉菌が駆逐され、気がつくと「メタボ菌」の増殖で手に負えない。(笑)

「小股(こまた)の切れあがったいい女」とは、スレンダーな女性に対する褒め言葉。

宗男は、ジーンズの股が擦り切れて、小股どころか大事なところが涼しくてどうもいけない。

ああ、こまった、こまった!

……すいません。

僕、走り過ぎていませんよね。(笑)



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↑連子窓からのぞいた本殿全景


 

川越氷川神社本殿。

起工は天保13年(1842)で、竣工は嘉永2年(1849)。

明治3年(1870)に御遷宮が行われている。

一重入母屋造向背1間、千鳥破風付き、銅板屋根。

棟梁は、印旛捨五郎(正)・桑村三右衛門(副)。

彫物師は、嶋村源蔵・飯田巌次郎。

全身「くりからもんもん」のや〇ざ屋さんのようである。(笑)

いや、これぞ江戸彫りの最高傑作!

硬い槻(ケヤキの古名)材を用い、木目を生かして立体感を作る木地彫りである。

そうそう、乳首の廻りを龍の目に見立てたや〇ざ屋さんの彫り物と同じ。

いや、これはちょっと違うかな。(笑)

そもそも、この建物の価値をはじめに認めたのが、大森貝塚の発見で有名なエドワード・S・モースである。

モースは、考古資料の調査のためここを訪れるが(明治15年)、発見したのは精巧なくりからもんもん、いや、氷川神社の建築装飾の見事さであった。(笑)

「アメリカでは、美術館の板ガラスの箱の中に陳列するような芸術作品群である。」

と、屋外にそのまま露出された日本の建築様式を賛美している。

文化財として認められたのは、それから70有余年を過ぎた昭和31年のこと。(埼玉県指定有形文化財)
 

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↑過剰なまでの軒廻りの彫刻


 

とにかく、びっしりとひしめき合った彫刻のリアリティーに驚嘆される。

トップの写真は、本殿西面にある「牛若丸と浄瑠璃姫との出会いの場」。

牛若丸が横笛を吹いて、浄瑠璃姫をナンパしている図柄である。(笑)

本殿東面は「源義家の勿来(なこそ)の関」という図柄。

そして圧巻が本殿北面の「源頼朝―鶴ヶ岡」の構図である。

鶴ヶ岡八幡宮の祭礼に、千羽鶴を放つ姿だという。

右側に「とんがりコーン」が2つある世にも珍しい場面でもある。

いや、キヌガサタケであろうか?(笑)
 

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↑本殿東面「源義家の勿来(なこそ)の関」

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↑本殿北面「源頼朝―鶴ヶ岡」(通称とんがりコーン)

その他、腰廻りには「川越十ヶ町の山車(だし)」の模様が彫られている。

うまく写真が撮れなかったけど、(中へ入ることはできなくて、連子窓の隙間からレンズを突っ込んで撮ったので)面白い題材がわんさかと盛り上がっている。

そして、向背を柱と本柱をつなぐ「海老虹梁」(えびこうりょう)は、まるで筋張ったナニかのように見えて仕方がない。

ナニ?

いや、だからそれ、何である。(笑)

雲水に子持ち龍をかたどったということであるが、筋骨隆々とした立派な虹梁なのだ。

当初は、この向背柱にも「登り龍と下り龍」が彫られる予定であったらしいが、どういう訳かすっきりとしたおとなしいデザインに収まったようだ。

バロックも、度が過ぎるとグロテスクになるということを察してのことだろうか?

それとも造営費が重なりすぎて、クライアントから「もう、けっこう!」とでも言われたのであろうか?(笑)


 

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↑海老虹梁(ナニ?)右端に見えるのが、すっきりとした向背柱。

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↑お札のとうりゃんせ。

 

【所在地】埼玉県川越市宮下町2-11-3 グーグルマップ

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コメント 26

リックディアス

すごいですね。
江戸の職人の心意気が伝わりますね。

by リックディアス (2008-05-26 04:25) 

kimuerichan

す、すごいですね、このグロテスクというか複雑な彫刻の数々・・・。
計り知れない職人さんの技術に驚かされます。
前回のおびんづる様もそうでしたが、川越はうちからもわりと近いので、ちょって見に行ってみたくなりました。
それにしても宗男さん、やっぱりちょっと走りすぎてる気がします(爆)。
こちらはパソコンの前でズッコケすぎて、困ります。(関西人なので、ウケた時はいちいちイスからズッコケたりしなければならないのです(笑))
by kimuerichan (2008-05-26 11:25) 

あや

すごい彫刻ですね~!
川越の氷川神社には行ったことがある気がするのですが、こんなだったっけ‥‥(^_^;)
お札のとおりゃんせは、異次元につながっていそう(笑)
ちなみに私は根っからの東京人なので、無表情でPCの前に座って読んでます。会社だから~(爆)


by あや (2008-05-26 12:15) 

yann

けっこう、けっこうと永井豪のけっこう仮面を思い出してしまいました。

いやしかし、凄い彫刻ですね。
川越久々に行ってみるかな。
by yann (2008-05-26 12:55) 

たろちぅ

建物というか、工芸品みたいだー☆
型抜きでなく彫ってあるの?
細かいなあ。器用だなあ。

by たろちぅ (2008-05-26 19:12) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>リックディアスさま
すごいでしょう。
職人というものはそもそも頑固なもので、一度決めたらとことん突き進むという心意気があるんですね。
まあ、それがあだになることも多いんだけど~。(笑)

>kimuerichanさん
川越、近いのですかぁ~?
では、ぜひとも一度行ってみてください。
おいしいお芋のアイスなんてのもありますよ~。(笑)
や、やっぱり、宗男は走り過ぎていましたかぁ~?
なんとなくそんな気がしていました~。
で、関西人は、誰も見ていなくてもいちいちズッコケながら読むんですね~。
律儀なもので~。(笑)

>あやさま
そうでしょう。
氷川神社へ行ったことある人でも、囲いの中がここまでグロテスクだと思わなかったでしょう。
ここは、連子窓(たて格子の窓)の隙間からのぞかないと、中が見られないんですよ~。
宗男は、不審人物扱いされながらも、一生懸命頑張りました~。(笑)
で、あやさんは会社でパソコン見てるんですね~。
隣の人に見られないように、お気をつけくださいね^。(笑)

>yannさま
ぎゃは~!
でた~、けっこう仮面!
yannさん。
あんたも好きね~。
いや、宗男もですけど~。(笑)

>たろちぅさま
そうそう、工芸品。
で、片抜きじゃありませんよ~。(笑)
江戸彫の妙味ですね。
一見の価値ありですよ~♪



by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-05-26 19:50) 

花火師

実に見事!
いいショットですね 本当に見に行きたくなりますよ
柱とかも凄いですねー
by 花火師 (2008-05-26 21:32) 

aya

この細かい細工(細かいから細工と言うのですね、2重肯定になった)は
どんな人がするんでしょう、気の長い人ですねきっと、芸術家はきっと
ご飯も食べないでするんでしょうね、 お札のショットは良い感じ(^◇^)
by aya (2008-05-26 21:53) 

高穂

ぎゃーー!!
神社仏閣って大陸的な絢爛豪華か
押さえまくった和のワビサビのどちらかかと思ったけど.
これは職人気質突き抜けて,芸術家肌爆発ですねー=3
着色が無いところも,彫刻だけで魅せてやる感ありありで
迫力ですーーー@@
by 高穂 (2008-05-26 22:53) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>花火師さま
ありがとうございます~。
って、別に宗男を褒めていただいたわけではありませんね。(笑)
とにかく凄いです。
一度見に来てください。

>ayaさま
細かいから細工。
ぎゃは~!
なんだか、頭痛が痛い!
ってのとおなじでしょうか?(笑)
気が長いかどうか?
意外と短期の人が多いと思います。
この細工だって、気長にやれるのではないのです。
いつの世にも工期と言う縛りがありまして、おそらく一気呵成に仕上げたのではないかと。(?)
記録によると、嶋村源蔵は、7ヶ月で本殿の彫刻を終えて、しばらく他のアルバイトをしたのち、また戻って下段の山車の彫り物をしている時に亡くなったとされます。
また、飯田巌次郎の作業期間は、かなり短かったとあります。
ああ、もちろん、ご飯は食べますよね。(笑)

>高穂さま
すごいでしょう。
色彩でごまかさないってところが、なんともいなせで。(笑)
嶋村家は、江戸彫りものの御三家の一つと言います。
やるなら徹底してやる気質なのでしょうね。
まさに、江戸のバロックです。


by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-05-27 00:16) 

ヴェルデ

重すぎてすべてみえず~(昴のフシで)。

川越祭りってここの神社の祭礼なのでしょうか。
(秩父の夜祭とかいろいろあって混同しているかも)
この空間恐怖のようなびっしりの彫り物は、先日観にいったたそがれの紫禁城の写真を思わせます。これが県指定の文化財でしかないなんて…。
おそるべし、川越。文化財ざくざくですね。

ええと、この棟木?の組み方は、わじるし、じゃなかった
和様でしたっけ?
それとも?くりからもんもんならぬ唐様?

>乳首の廻りを龍の目に見立てたや〇ざ屋さんの彫り物
描写が妙に細かいですが、みたことあるんですかあ?
ハラ側の彫り物ってめずらしいんじゃ…。

by ヴェルデ (2008-05-27 00:41) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>ヴェルデさま
おお、さすがヴェルデ様。
この軒は二軒(ふたのき)と言って、2段になっているのがわかるでしょう。
そして、これはタル木というのですが、それが平行になっているので、軒だけの様式を言えば「和様」です。

川越祭りは、氷川神社のお祭りですね。
この建物の下の段には、そのお祭りの山車の模様が彫られております。

by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-05-27 01:48) 

旅爺さん

はじめまして。
アイコンの長い名前にジゲムジゲムさんかと・・・・笑
素晴らしい彫刻ですね、それに軒下は暗いはずなのに写真が鮮明で驚いています。 一度は行って見たいですね。

by 旅爺さん (2008-05-27 06:19) 

カンパネルラ

またまた、すごい川越ですねぇ。川越、侮れないですねぇ~。
また見上げるカットワークが妙に赤みがかっていて、悶々(紋々?)の彫刻のおどろおどろしさが一段と映えますねぇ。 ちまちまと彫ったんでしょうね。そういおう意味じゃ本当に刺青みたいですね。
筋ばった何ってナニですか? なんか浮いてるみたいで、なんとなくフライングパッドレスを思い出しました。でも、こんなすごい装飾してないですよね。
痛そうです(笑)

by カンパネルラ (2008-05-27 07:29) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>旅爺さま
こちらこそ~!
よろしくお願いいたします~。
名前は長いですけど、怪しいものではございません~。(笑)
シャッタースピードが遅くて、ちょっとぶれ気味なんです。
もっと明るいレンズならいいんですが~。

>カンパネルラさま
でしょう。
川越、侮れませんよ。(笑)
おうおう、フライングバットレスですか。
たしかに、あれも海老虹梁に似てますね~。
あっちには、ボツボツがいっぱい付いてますよ~。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-05-28 00:15) 

rose-k

重厚な造り、細部まで行き届いた職人技、見事ですね~!
by rose-k (2008-05-29 12:11) 

Ranger

宗雄議員、ちょっぴり走りすぎかも^^
たしかに、これでもかぁーってくらいの荘厳さやん^^
僕も、ずぅーっと昔日光行ったことあるから、言えます
・・・結構!
by Ranger (2008-05-29 17:50) 

ぱせりん

>僕、走り過ぎていませんよね。
↑いえいえ、今日も全力疾走でございますよー!(笑)

川越はお寺・神社も多そうですね。
日光まで行かずとも、こ~んなすごいの見れちゃうんですね。
小江戸の街並みと菓子屋横丁なら何度か行ったのですが、
お寺・神社めぐりもよさそうですね♪

by ぱせりん (2008-05-29 23:24) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>rose-kさま
ほんとに、昔の職人には脱帽ですね。
現代でもそういう職人さんがいないのでもないでしょうが、少なくなったのは確かですね。

>Rangerさま
す、すいません。
やっぱり走り過ぎていましたか?(笑)
おお、けっこう!
毛だらけですかね。(笑)

>ぱせりんさま
や、や、やっぱり走り過ぎていました。(汗)
全力疾走は心臓に悪いですね。(笑)
川越は、神社仏閣、蔵造り、洋風建築と、見どころがたくさんありますよね。
最近では、観光都市宣言をしておりますので、食べ物屋さんなども充実しておりますよね♪

by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-05-30 23:08) 

かふぇおれ

川越って時々TVで紹介されてるの観たことありますが
こんなすごい神社もあるのですね~Σ( ̄▽ ̄;|||
でも連子窓の隙間からしか観ることができないなんて
もったいな〜い(uu;
日光には行ったことがありますが、激しくバロックしてて
外国人観光客が喜んでるのも何となく納得した覚えが
ござりまする〜(笑)
ここの建物、彩色は最初からまったくないのでしょうか?
これでまともに色もあったら東照宮と間違えそう...(^^;;
by かふぇおれ (2008-05-31 14:28) 

ももりん

なるほど走ってますね(笑) ←次の記事から読んでコメントしたので・・
すごく手の込んだ彫刻なんですね。
お札のとうりゃんせ。は目がチカチカしてきました(笑)
川越は行った事はないですが見所が多いんですね。
日光は小学校の修学旅行で行ったのですが
子供の目線では素晴らしい彫刻に気がつくのは無理だったようです(-_-;)
by ももりん (2008-05-31 16:01) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>かふぇおれさま
こちらまで、ありがとうございます~。
そうなんですよ。
ここは覗き見しないと見えないので、川越に来た人でもこんなにすごいものがあるとは知らない人が多いのです。
はい。
ここははじめから色彩がないのです。
色でごまかすのは、江戸彫りの恥ですからね~。(笑)
東照宮と違うところは、ここの模様のテーマは、かなり俗っぽいというところですね。
ぞくぞくします~。(笑)

>ももりんさま
やっぱり、走ってますね。
申し訳ございません。(笑)
そうですね~。
子供の目では、日光でも学校でも同じですからね~。
違うか~。(笑)
お札のとうりゃんせ、背の高い人は頭ぶつけます。
泥棒よけになるかも~。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-05-31 22:32) 

雪洞

こんばんは(^^)
川越には2回行った事がありますが、こちらは寄ろうと思ったときに
混んでいてやめた記憶があります。
いいもの見せていただきました♪
by 雪洞 (2008-06-01 00:25) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>雪洞さま
こんばんわ^。
そうなんですか~。
混んでましたか~?
シチュー屋さんみたいですね。(笑)
ここは、お休みの日は結婚式とかがあって、けっこうにぎやかだし、ちょっとメインルートからは離れていますからね~。
また行ってください~。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-06-01 01:05) 

yumi

彫刻みるの大好き~! でもこれは本当にギッシリですね。^^;
by yumi (2008-06-03 07:10) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>yumiさま
さすがぁ~。
yumiさま、和のテイストがお似合いでいらっしゃる。
和服美人の彫刻鑑賞……
ああ、いい絵ですね。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2008-06-03 09:25) 

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