旧遠藤吉平商店(元コーヒーハウスJOE) [函館]
男児志を決して千里を馳(は)す、
自ら辛苦を嘗(な)めて豈(あに)家を思わんや……
……新島襄(新島襄海外渡航乗船の処より)
☆
ふむふむ。
男の児は、志を決めないまま千里ニュータウンまで馳せ参じ、自ら辛いとか苦しいとか言ってお椀をなめるのではなく、兄の家に行ってからゆっくり嘗めよう……
……なるほど
そういうことだったのか!?
吉田松陰の海外渡航失敗を受けて、新島襄が次なる渡航場所を選んだのは、新島ではなくここ函館であった。
元治元年(1864)、新島襄は女装(?)してアメリカの船に乗り込み、国禁を犯して日本を脱出する。
いや、女装が国禁なのではなく、アメリカの船に乗ることが国禁ね。(笑)
新島襄(ジョー)と言えば、同志社大学の前身である同志社英学校の創始者で、熱心なキリスト教徒。
ジョーなどといかにもメリケン風なかっこいい名前であるが、何と本名は七五三太(しめた)と言う。
「七五三縄」と書いて「しめ縄」と読むのと一緒で、ジョーは幼少期からみんなに「しめちゃん」と揶揄されていた。(はず)
もちろん、戸締りはいつも「しめた」の役割である。(笑)
↑新島襄脱出時の扮装再現!
後に友人にせがまれて当時を再現したということであるが、このほっかむりがなんとも妖しい。(笑)
☆
「旧遠藤吉平商店」(元コーヒーハウスJOE)
明治18年(1885)以前の竣工。
煉瓦造2F建て。
設計・施工者共に不詳。
☆
さてこの建物、近くに「しめちゃん」の女装場所、いや、海外渡航場所があることから「JOE」と言う名でお店を出している。
いえ、正確には「出していた」ですね。
ああ、やっぱりこの辺は不景気なのね。
またまた、廃屋同然となっております。(笑)
明治18年の絵図には「遠藤吉平商店」と書かれており、煉瓦造の店舗と隣接する和風の蔵などから出来ているのがわかる。
元々は「廻漕店」であったらしく、渡航する不法出国者への女装援助、いや、船舶による運送業を営んでいた模様。
明治35年には、成田金太郎が買い受けて「成田金太郎商店」として同じく廻漕店を経営していたが、明治40年の大火で全焼。
煉瓦造の店舗だけがの残り、その一部を改造したのが現在の建物である。
これを、有名な「大火の改新」と言う!(笑)
ちなみに石川啄木もこの時の大火で函館を去り、心を改めて小樽、札幌、釧路へと向かった。
これを「大火の改心」と言う!
って、今日は親父ギャグが冴えないなぁ~。(笑)
☆
『太刀川家住宅店舗』と同じく、煉瓦造の上に漆喰を塗り固めて目地を切り、一見石造のようなデザインに仕立てている。
三連アーチを鋳鉄製の柱で支えている意匠も、太刀川家に酷似している。
しかし、竣工年はこちらの方がかなり古く、同じ頃に建てられたであろうと思われる「金森洋物店」(明治13年)との共通点が多い。
内部はほとんど改修されて原形をとどめないが、1Fは煉瓦式の店舗で、2Fは畳敷きの和室であったと言う。
外部だけにとどまるが、大火以前の函館明治商家建築の貴重な遺構の一つなのである。
☆
2Fのアーチ窓には丁番跡があり、かつてはここに両開きの防火戸があったことを裏付けている。
火事の時はこれを「しめた!」と言って、みんなに大声で知らせる。
閉め忘れると、火事場泥棒が「しめた!」と言って侵入してくるので、ご注意ください。(笑)
【所在地】北海道函館市大町9-14 グーグルマップ
おまけ
函館に帰ると、必ず立ち寄る「丸金焼きそば」(肉入り大盛り)↓
照明、おしゃれ~~~☆
by nyan (2009-09-12 18:03)
ああっ! 懐かしいなぁ“JOE”だ(ΦωΦ)♪
…て、言うより今の二兎的には
『つむじ風食堂』だっっ(>∀<)ノシ☆
ついこの前、記事にして紹介したけど、
この秋、映画になって近々公開なのよぅ♡
去年の暮れに一週間程で撮り切ったってあったから、
宗男氏がこうして撮る少し前にロケしてたんだなぁ。
予告編↓の冒頭に出てくるよ、この建物。
http://www.tsumujikaze.jp/trailer/
by 二兎丸 (2009-09-12 21:53)
これも、宗男師匠がセンチメートルになる物件ですね。
アーチが可愛い白い建物。コモモにぴったりでおされ~♪
それにしても千里ニュータウンって・・・(* ̄m ̄) ププッ
by kimuerichan (2009-09-12 22:17)
宗男様、えらく女装が気に入られたようで、女装だから JOEなの?
食堂? 喫茶店?・・・オシャレな建物ですね( ^∇^)ノ 彡
by aya (2009-09-12 22:19)
オサレだけどどっしりとした蔵感が有るけど柱が心もとなげな…
不思議な建物ですねー.
なんかサーフショップとか自転車屋が似合いそうな気がするのは
気のせいでしょうか.
隣のモスグリーンの建物も気になります.
なを.縄でシメタとか女装とか犯すとかの
本文に対してのコメントは自粛させて頂きます.
by 高穂 (2009-09-12 23:37)
確かに、この元コーヒー店もシャッターが見事に『七五三』ってますね!(笑)
by さくママ (2009-09-13 00:38)
新島襄の本名が「しめた」だなんて(^o^;;
でも、外だけ見ると函館にありそうな洋館に
見えまする〜、しかして、なぜ宗男師匠が
千里ニュータウンをご存知なので??(^^;
まだまだ使えそうな建物なのに、もったいないですね〜
で、この美味しそうな焼きそばは函館のどのあたり
で味わえるのでしょうか〜?(笑)
by かふぇおれ (2009-09-13 00:52)
早いな
もう雪か・・・・
千里ニュータウンに持ってくあたり
関西に繋げてますなあ
by 八犬伝 (2009-09-13 00:56)
>nyanさま
照明、おしゃれですよね~。
クラシックなイメージにぴったりです。
夜景はきっと、綺麗なんでしょうね。
>二兎丸さま
おお、よくお遊びでしたか?
へ~、映画のロケ地だったんですね。
ご情報、ありがとうございます。
それにしても函館は、よくロケがございますね。
面白そうな映画で、宗男もぜひ見たいと思います。
>kimuerichanさん
は~い!
センチメートルになる物件です。(笑)
コモモに似合いそうですね。
白とピンクが映えますね。
赤いバックに、赤いペコちゃんじゃ映えませんからね。(笑)
千里ニュータウン、受けてくださいましたか?
さすが、浪花の女でございます。(笑)
>ayaさま
いや、女装が気にいったわけではないのですが……(ぽりぽり)
ここは喫茶店でした。
静かな、いい雰囲気でしたよ。
周りにはだれもいないし。(笑)
>高穂さま
柱が心もとない。
さすが、高穂さま、目がききますね。
そうなんですよ。
太いアーチに対して、柱が華奢ですよね。
カモシカの脚みたい。(笑)
サーフショップ?
まさか、青山ののりP関連じゃございませんよね。(笑)
縄でシメるのは危険ですから、お気を付けください。
>さくママさま
おお!
さくママさま。
「七五三」ってますねって、しめってますね。
っていうことでしょうか?
湿っているのは、モモを川に流すからでございます。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-13 00:59)
>かふぇおれさま
新島襄はしめたです!
これは本当ですので、お友達に話しても大丈夫ですよ。(笑)
児、自、実は……
宗男は三年ほど大阪に住んでおりました。
千里と言えば、大江千里か千里ニュータウンしか思い浮かびませんでした。(汗)
丸金やきそば、おいしそうでしょう。
ははは~、でも場所は教えませ~ん。(笑)
>八犬伝さま
そうそう、函館はもう雪が降っております……。(笑)
いや、関西へつなげたわけではないんですが、好きで通えば千里も一里と申しますから。(?)
ネットの世界は広いから、なるべく全国区で行きたいと思います。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-13 01:05)
えぇ!本当に女装して船に乗ったのですか?
どこらへんでどういう風に捕まったんだろ。。
詳しい説明で面白かったです〜♪
みんな信じそうになって笑ってしまいましたが^^;
by 佐喜春 (2009-09-13 09:24)
>佐喜春さま
女装について、当時の再現写真がございますので、追記しておきました。(笑)
これを女装と呼ぶかどうか?
諸説がございまして、とにかくほっかむりをして顔を隠していたようでございます。
始めから船長と密約を交わしていたらしく、途中検問があったらしいですが、見事船に乗り込むことが出来たらしい。
いや、直接宗男が見たわけではありませんが。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-13 10:50)
焼きそば大好きな私としては、この焼きそばは外せませんね。
by あら (2009-09-13 12:59)
缶コーヒーのJOE ってありましたよね?
この店とは関係ないのかしら…(^^;)
…マスター、熱い珈琲を1杯。 (←妄想中)
by うに (2009-09-13 14:38)
ここは・・・・なるほど映画の舞台になりそうな所ですね。篠原監督の新作なんですねぇ。いいロケーションですねぇ。
ってことはおいといて、洋風なはずなのに、漆喰に感じがすごく伝わってきて、和風に見えます。屋根の瓦に、それから鬼がわらみたいのも、ついてます?
中がどんな風で、どんな珈琲飲ませてくれるのか、すごく気になります。
って、もうやってないんですね。。。残念。
by カンパネルラ (2009-09-13 21:11)
一つの建物に、沢山の物語があるのですね。
宗雄さん家の物語み見てみたいです~
by tomi8 (2009-09-14 13:41)
>あらさま
あら?
焼きそばがお好きですか?(笑)
この焼きそば、屋台の焼きそばをお店で食べるような感じで、素朴でとってもおいしいんです。
函館に来た際にはぜひどうぞ!
宗男から聞いたと言っても、割引はありませんが。(笑)
>うにさま
ぎゃは~!
変な妄想に駆られておりませんか?
うーん、缶コーヒーとは関係ないような。(笑)
でも、こういうところで飲むコーヒーは、雰囲気でおいしいんですよね。
>カンパネルラさま
そうでしょう。
これぞ擬洋風なんです。
瓦屋根には
もちろん鬼がおります。
函館は映画のロケ現場が多いですね。
映画のロケーションとしてはいいのかもしれませんが、実際はこのへん、寂しい限りなのでございます。(笑)
>tomi8さま
一つの建物には、何人ものドラマがありますよね。
宗男の家ですか?
確かに物語はたくさんありますが、今はもうありません。(笑)
あっ、それも物語の一つでしょうか?
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-14 15:55)
宗男先生の熱烈な支持者となったせいでしょうか、「遠藤吉平」の文字を見て、反射的に「遠藤幸吉」→「シャープ兄弟」→「フレッドブラッシー」とオヤジ的プロレス妄想が暴走してしまいました。それにしても函館は明治~昭和初期の建築が実にいい感じで残っていますね、ウラヤマシイ。ワタクシの実家のある町は、同じ北海道の港町ながらも「業務用」の町だったのであまり色気のある建物が残ってオリマセン。多少ながら残っていた繁栄の遺構を追いかけた記事がありますのでお手すきの際にでもご笑覧ください。http://opas10.blog.so-net.ne.jp/2009-01-17
by opas10 (2009-09-21 16:53)
>opas10さま
さっき、TBSラジオを聞いていたんですが、ブッチャーってのは70歳で、まだ現役なんですってね。(笑)
それはともかく、行ってまいりました。
素晴らしい建物がたくさんあるんですね。
特にハーフチンバーの煉瓦造、あれには驚きました。(笑)
北海道は、まだまだ沢山古い建物がありますよね。
函館は観光地化されているので、建物の保存にも力を入れておりますが、北海道は全体的に冷え込んでいますんで、そんな余裕などありませんよね。
でも、さりげなく古い建物が残っている状況が、宗男は理想だと思っております。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-21 17:30)
新島襄の幼名を七三太といったのは、女の子ばかりの後に男の子(襄)が生まれたので父親が「しめた」と叫んだのが由来、と同志社中学に入学後、教えられました。
吉平のひ孫より。
by 遠藤瓔子 (2016-03-30 15:47)
>遠藤瓔子さま
初めまして。
ようこそおいでくださいました。
こんなブログに書き込んでいただき、ありがとうございます。
ちょっと、驚きました。(笑)
また、吉平さまのひ孫さんでいらしましたか。
まったく知りませんでした。
あたくしは函館生まれでございまして、現在は東京に住んでおります。
大変貴重なご情報、ありがとうございました。
勉強になります。
今後とも精進いたしますので、よろしくお願いいたします。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2016-03-31 01:53)