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民宿 室屋 (旧森卯兵衛商店) [函館]

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うなぎの蒲焼ってのは、洋食かい? 和食かい?

へいっ! 答えは洋食。

うなぎだけに、養殖うなぎ。(笑)

 

 

すいません。(ぺこり)

無理やり古典ネタを持ってくる必要はないんですが。(笑)

さて、洋食ばかり続いたので、たまには和食を……

いや、たまには和風建築をUPします。


 

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『民宿 室屋』 (旧森卯兵衛商店)

※『函館の建築探訪』(函館建築研究会・函館の歴史的風土を守る会編、北海道新聞社/1997)には「森宇兵衛商店」と表記があるが、これは「森卯兵衛商店」の誤記ではないかと思われる。

竣工は明治42年(1909)。

設計・施工:不詳。

木造2F建て。

いかがでしょう?

洋風建築ばかりを見た後って、和風建築がとても素敵に見えませんか?

スザンヌやベッキーを見た後は、山田花子が見たくなる……

いや、ちょっとこれは違いますね。(笑)

とにかく、和風には和風の良さと言うものがあります。

函館の街は、このように和風と洋風が混在したところに、不可思議な驚きと面白みがあるのです。

 

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この建物は、昭和59年(1984)に民宿として再利用されたもの。

元は、海産問屋の森卯兵衛商店。

何と部屋数が、16室もあると言うから驚きである。

洋風のお店が流行る中「これが和風だっ!」と、啖呵を切った店主の心意気には頭が下がる。(笑)

玄関は、4枚引き分けのガラス格子戸。

引き分けと言っても、じゃんけんしているわけではありませんが、こういう形式をそう呼びます。

正面の窓は出格子とならず、1・2階とも縦桟の面格子を付けている。

窓上部には「出桁庇」が取りついて、軒は化粧たる木としてある。

これだけでもう、和風としての品格は満点である!


 

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しかし、妻側は大壁の下見板張りが大半なのでちょっと洋風に見えなくもない。

2Fの窓も額縁の付いた開き窓で、どことなく洋風のテイストが見られる。

屋根の小壁には、あれ? ハーフチンバー?

いや、これは真壁(しんかべ)に小屋ヌキと小屋ヅカを半表しにしたもので、伝統的な和風の手法です。(笑)

1Fは和風、2Fは洋風、屋根部は和風。

まるで、洋風の牛肉を和風のごはんで挟み込んだ、牛肉ライスバーガーのような構造である。(笑)

 

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これが奥へ行けば、だんだんと洋風建築になるから不思議である。

増築されているようだ。

しかも養殖ウナギのように長い。(笑)

う~ん、これだけ広いから16室もあるんですね。

窓も上げ下げ窓(ギロチン窓)で、軒裏にも蛇腹が付いて持ち送りが見られる。

これはまさしく洋風建築だ!

このお店、和ものを扱っていると見せながら、実は裏では洋ものを商いしている……

なんて勘繰りたくなる建物だなぁ~。(笑)

 

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この森卯兵衛商店、調べてみるとなかなか面白い。

いや、そんな暇があったらちゃんと仕事をしなさいっ!

って、怒鳴られそうですね。(笑)

森卯兵衛は大阪の人で、始め東京で商いを見習い、後に函館へ来て海産委託販売業を始める。

明治44年には、中国を相手に塩鱒の輸出を実施し、対中貿易に力を注いだとされる。

大正の後半には日魯(ニチロ)漁業のエージェントとして、塩鮭、マス、スジコ、イクラ、みがきニシン、スルメ、タラ、昆布、小豆……と言った酒好きにはたまらない海産物その他を手広く扱ったようだ。

どうやら当時は「森卯」(もりう)と呼ばれていて、その名も全国的に有名だったらしい。

どんぶり屋に「なか卯」と言うのがあるけれど、あれとは全然違う。(笑)

そう言えば、あがた森卯、いや森魚(もりお)と言うやつがいたが、あれとも関係ない。
 

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森卯商店は、関東大震災後の大正13年(1924)、東京日本橋に「函館森卯商店東京出張所」を出すことになる。

注:大正15年の郵便物を見ると、函館店は「本宅」(仲濱町十三番地)とあり、東京店は「東京森卯兵出張店」(日本橋□本船町五番地)と記されている。函館の住所は旧住所番号で、仲濱町は現在の大町の一部である。旧地図をみると大体現在位置と合致する。

その後新宿に「エビスビアホール」を開き、これが大当たりして昭和の初めには函館から東京へ主力を移す。

そしてどんどん大きくなり、現在の「ニュートーキョー」へと発展するわけである。

そうなんです。

この旧森卯兵衛商店、実は「ニュートーキョー」の前身だったのです。

「ニュートーキョー」はブランド店もいっぱいあり、酒飲みであれば一度は入ったことがあるに違いない。

ちなみに、昭和12年(1937)の数寄屋橋本店の開店では、ビールのつまみに「干しタラ」が付いたそうです。

函館だったら「かんかい」が付いたはずなんだけど。←これ、函館の人にしか分からないかも?(笑)


 

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宗男は居酒屋へ行けば、必ず揚げ物を注文してしまいます。

これがメタボの原因!

一番の好物がてんぷらで、特に鱚(きす)のてんぷらが好きである。

ん?

鱚(きす)のてんぷらは洋食か? 和食か?

はい。

答えは「フレンチ」です。

鱚(きす)だけに、フレンチキッス!

なんちゃってね。(笑)

おしまい!

 

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【所在地】北海道函館市大町9-17 グーグルマップ


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コメント 24

まぐろとわさび

東京駅地下街で食事に困るとここでいいかぁ~と
お世話になるニュートーキョーは養殖うなぎで築き上げられたのですね(違っ!)
by まぐろとわさび (2009-09-29 07:55) 

hisamiko

なかなかに、面白い歴史を持った建築物ですね。
正面からと側面からの違いも面白いです。
ちなみに私は、なか卯の親子丼が大好きです。
以上、通勤バスに揺られながら、
コメントさせて頂きました!
ちょっと車酔いしてます(・・;)
by hisamiko (2009-09-29 08:27) 

しろうさぎ

面白い建物ですね。
表から見ると和風で奥は洋風。
欲張りなかんじがします^^。
民宿としてまた利用されるようになって良かったですね。
建物はやっぱり人が中に居ないとつまんないです。
by しろうさぎ (2009-09-29 09:09) 

二兎丸

JACCSのルーツが函館と知った時も驚いたけど、
ニュートーキョーも函館だったのねぇ…。
それにしてもいろんな意味で“奥が深い”建物だねぇ。
住所を見ると元JOEの近くだと思うんだけど、
この建物は記憶に残っていないなぁ…(-ω-;)
by 二兎丸 (2009-09-29 11:57) 

MORIHANA

この建物の周りって、昔はもっとたて込んでいた
…ような、記憶がありまする。だから、なんとなーく、
影が薄かった。今は周りがすっかすか、なのね。
風邪ひきそうだ(苦笑 経年変化、老朽化による
街の新陳代謝で、日陰モノ的な建物が表舞台に
突然現れるのが、面白いなぁ…。深く考え込むと
ちらりと寂しかったりもする。うむぅ。
by MORIHANA (2009-09-29 12:47) 

カンパネルラ

もう、完全にハーフチンバーだと思ってましたよ。
いや~。建築ってむずかしいですねぇ。
しかし、この建物見ていると、なんつうか安心感ってか、これなら雪でも大丈夫でしょって感じはしますね。
民宿なのか~、ちょっと泊まりたいです。てか、なにか美味しいもの食べさせてくれそうな雰囲気あるんですが、鰻でしょうか?(笑)
by カンパネルラ (2009-09-29 16:19) 

kimuerichan

スザンヌやベッキーを見た後でも、山田花子は・・・・。
あ、そこは突っ込む所ではなかったですね(笑)。
ほんと、この建物、後ろの方にいくほど洋風になっていきますね。建てた人は、洋風も和風もどちらも好きだったんでしょうね。
どちらも捨て難くて両方取り入れちゃったのかも。
それにしても、宗男さんの記事を読んでいるとお腹が空いてきます。建築日誌なのになぜでしょう・・・。私もキスの天ぷらスキです(*^_^*)。

by kimuerichan (2009-09-29 18:38) 

八犬伝

フレンチキッスね
熱いの頂戴!

おお~い、座布団1枚持ってきて。
by 八犬伝 (2009-09-30 00:34) 

(な ̄▽ ̄お)

ふむふむ、ニュートーキョーの前身はなか卯と_〆(。。)
間違って覚えてしまいそうです(笑)
“かんかい”わかりませんでした~。
思わず調べちゃいました。こまいのことなんですね~。

先日、御徒町付近のこんにゃく料理屋さんの前を通ったら
店先に「こんにゃくや 明日食わずに 今夜食う(こんにゃくう)」という
古典的な張り紙が、堂々と張られており、軽い目眩を感じました。
座布団を置いてくるか迷ったのですが、そのまま帰って参りました。

by (な ̄▽ ̄お) (2009-09-30 02:47) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>まぐわささま
いつもながら、おいしそうなお名前、ありがとうございます。
「ここでもいいかぁ~」と、決められるところ、リアルですね~♪
ニュートーキョー、必ずここへ行きたい!
と言う感じではございませんものね。(笑)
言いえて妙でございます。

>hisamikoさま
バスの中で読むのは大変ですね~。
いや、書き込みのはもっと大変ですね。(笑)
ありがとうございます。
なか卯の親子どん、おいしそうですね。
あたしも昔は、よく行きました。
今は、近くにないので10年近く行っていませんが。

>しろうささま
そうそう、欲張りですよね。(笑)
お金持ちは、和風を作って、隣に洋風を作ってと、どうしても両方欲しくなるものです。
民宿は繁盛しているのかどうか知りませんが、中へ入ってみたいものですね。
おっしゃる通り、建物は人が住んでなんぼですよね~。(笑)

>二兎丸さま
そうそう、JACCS、よくご存じで。
函館発祥の大手店舗など、探せば結構多いんでしょうね。
この辺りはJOEの近くですが、昔は海産問屋街と呼ばれるほどだったらしいです。
今じゃ、寂れて~♪
って感じで、余り人を見かけませんけど。(笑)

>MORIHANAさま
お仕事は一段落つきましたでしょうか?
そうなんですよ。
左の木造も無くなったし、とにかく右側が開けたことで、建物の全体像が見られました。
まだまだこの辺は、開かれた函館でございます。(笑)
新陳代謝でもしてくれれば、まだ活気があろうと言うものですが、旧いものがなくなり、そのまま開かれた状態……と言うのが現実でございます。

>カンパネルラさま
洋小屋は、トラスと言って斜材が構成材料の一つになりますが、基本的に和小屋にはそれがありません。
これは力学的に大変重要なことなのでございます。
ちなみに、雪には洋小屋の方が強いです。(笑)
お料理はどうか知りませんが、函館ですから、新鮮な魚介類が出れば味は確かでございましょう。
鰻は北海道の人はあまり食べないです。
いや、お金持ちは食べるのかな?(笑)

>kimuerichanさん
恐らく、一代目のご主人は和風このみ。
洋風好みは二代目以降だと思います。
って、勝手に決め付けてはいけませんね。(笑)
要するに、伝統と革新と言うものを、両方持ち合わせているんでしょうね。
ところで、コモモの建築日誌拝読いたしました~。
素晴らしい記事ですね~。
感動いたしましたっ!
宗男も、建物のモデルにコモモを配して見たいと、真剣に考え始めました。(笑)

>八犬伝さま
熱いの頂戴って……八犬伝様、宗男のフレンチキッスでよろしゅうございますか?(笑)
座布団ではなく、口を拭うナプキンの方がよろしいかと?(笑)

>なおさま
かんかい、分からないでしょう。
こまい、といっても、まだどんな食べ物かピンとこないでしょう?(笑)
歯が弱いお方にはお勧めできませんが。
そこのこんにゃく屋さん、いや、料理屋さん、もしかして林屋さんとおっしゃるのでは?
座布団は癖になるから、相手にしないほうがよろしいかと。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-30 11:30) 

ぱせりん

こんにちは♪
ここ民宿なんですね。
しかもここに16室もあるとはビックリです!
あ、ちなみにスザンヌはバリバリ日本人ですよ~(笑)
by ぱせりん (2009-09-30 12:37) 

うに

今日も飛ばしていますなぁ。(爆)
ライスバーガーのたとえは、とても判りやすいです、先生!(笑)
この民宿の朝夕食、中華だったら楽しいです…
by うに (2009-09-30 16:51) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>ぱせさん
えっ、え~!
セザンヌは、いやスザンヌは日本人だったんですかぁ~?
外人だとばかり思っていました。(驚)
そう言えば日本語ぺらぺらだしな~。
なんか、おかあさんも日本人みたいだし~。(笑)

>うにさま
はい。
飛ばしております。(笑)
ライスバーガーのたとえ、ご理解いただきありがとうございます。
じつは、アメリカのワインバーガー元国務長官でギャグを考えようとしたんですが、うまく行きませんでした。
なかなか苦労して、おるのでございます。(ぺこり)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-09-30 22:59) 

mamitan

16部屋?と、びっくりだったけどなるほど増築されているんですね。
増築を繰り返すと中は迷路のようになるけど、どうなんでしょね。
by mamitan (2009-10-01 00:25) 

ユキ

かんかい、うちの主人も好きですよ(青森です~)
by ユキ (2009-10-01 01:04) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>mamitanさん
そうでしょう。
16室もあるとは見えませんものね。
宗男も騙されました。
おそらく中は迷路でしょうね。(笑)
一度入ってみたいです。

>ユキさま
ありがとうございます~。
かんかい、よくぞ言及してくれました~。(笑)
青森ならもちろん知っておりますよね。
宗男はもう何十年も食べたことがございません。
ご主人、ステキですね~!
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-10-01 10:13) 

wikiwiki

スザンヌのあと山田花子>ウケる
宗男さんはメタボだったのね~^^
by wikiwiki (2009-10-02 09:54) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>wikiwikiさま
そうなんです。
宗男はメタボなんです。
お腹がプニプニしてます。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-10-02 10:15) 

opas10

屋根の小壁は和式の手法だったのですか!?浅学非才な私だとハーフティンバーで済ませてしまうところでした。それにしてもニュートーキョーの元祖が函館だったというのは驚きです。ビールにタラの干物・・・木槌で叩く棒ダラなんぞも合いそうですね。おっと、これまた道民限定ネタですかね。
by opas10 (2009-10-03 11:45) 

高穂

おんやお蕎麦屋のような佇まい.
表のしゃんとした和の風情からは想像出来ない
裏の混沌ぶりにびっくりでございますー@
by 高穂 (2009-10-05 17:55) 

Ranger

やっぱ、山田花子・・じゃなくて和風建築は味があるなぁ

僕も、建築の方の仕事では最近和風店舗に凝ってて、
今も一軒工事してます
って、僕の作る店舗は本格日本建築じゃないけどね^^;
by Ranger (2009-10-06 11:33) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>opas10さま
そうなんです。
ハーフチンバーは洋物で、これは和物です。(笑)
まあ、手法は同じなんですが、屋根のかけ方が和小屋と洋小屋の違いがあります。
そうそう、木槌でたたく、棒ダラ。
今はそんな食べ方しませんね、きっと。(笑)

>高穂さま
お蕎麦屋さん!
確かにそんな感じがしますね。(笑)
色々増築を繰り返したのでしょうね。
確かに混沌としております。

>Rangerさま
おお!
やっぱり山田花子ファンでございましたか?(笑)
え~!
rangarさん、建物の工事もしてるんですか?
し、知りませんでした。
写真に、建物、すごいですね~。
こんど、竣工された写真をアップしてください~。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-10-08 16:23) 

かふぇおれ

ここは現役民宿なんですね♪
でも、後ろへ行くほど洋風に変身していく...
中はどうなってるのか気になります(笑)
それにしても、↑のコメントを読んでいたら
スザンヌが日本人だの、色々と掛け合い漫才のようで
ちょこちょこ吹いておりました(^^;;
おかげで、書くこと忘れちゃったような...(汗)

そうそう、先日書いた森倉庫の近くのペンション
は古稀庵でございます。
↑すっかり忘れていました(^^;;
by かふぇおれ (2009-10-09 00:00) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

>かふぇおれさま
そう、現役なんです。
でも、どのくらい泊まり客があるのか不明ですが。(笑)
スザンヌが日本人だとは初めて知りました。
セザンヌなら外人にちがいないのですが。
あっ、ロザンナも外人ですね。

やっぱり古稀庵でしたか?
あそこのお嬢さんは、宗男の姪っ子の同級生だそうです。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2009-10-09 02:15) 

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