四稜郭 [函館]
前回の記事「箱館奉行所(五稜郭)」では、何にもないことをいいことに四稜郭を話の枕で済ませてしまった。
しかし、このまま雪に埋もれてしまっては四稜郭に大変申し訳ないので、改めて記事にしたい。
とはいえ、やはり何にもないことには変わりがないのだけれど、何にもないようなことが、幸せだったと思う~♪
なんて歌もあるようだから、何にもないような四稜郭を、何にもないなりに書いてみる。
まずは、TOPの写真!
いい感じで、何にもないですね。(笑)
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いや~!
これ以上写真を並べてみても、ほんとに何にもありませんね。
では、少し何かがあるような写真を……
はい、ありましたね!
東屋と水飲み場。
そして記念碑と案内板です。
ちなみに公衆トイレもありますが、写真はいいですね。(笑)
★
「四稜郭」
明治2年(1869)竣工(箱館戦争終結の年)。
設計:旧幕府脱走軍(大鳥圭介、あるいはジュール・ブリュネとも言われている)
施工:旧幕府脱走軍+付近の村民
構造:洋式築城法(稜堡式要塞)
規模:東西約103.6m、南北約65.5m、郭内約2,300㎡
場所:北海道函館市陣川町(昭和9年国史跡指定)
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この四稜郭、箱館戦争の末期に十字街にある金森森屋百貨店(棒二森屋)の増築を皮切りに、負けじと丸井今井百貨店がルネサンス風古典様式の5階建てに増築したことから……
ん?
いや、これは同じ戦争は戦争でも、函館デパート戦争(昭和5年)のことでしたね。(笑)
失礼しました。
では、改めまして。
★
この四稜郭、明治2年(1869)箱館戦争の末期、五稜郭に立てこもる旧幕府脱走軍が、新政府軍の攻撃に備え、五稜郭の後方(北方)を守るために急きょ築造されたもの。
五稜郭の北方約3kmの緩やかな高台にある洋式築造法による台場である。
ちなみに台場とは、砲台すなわち大砲を据える場所のこと。
東京では「お台場」と称し、おしゃれなデート・スポットと化しているが、じつは元々物騒な場所であり、男子が大砲を女子に向け……
いや、違いました。(汗)
とにかく田舎の「お台場」は、ご覧のとおり犬の散歩の跡しか見当たらない。(笑)
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建設の指揮にあたったのは、京唄子の旦那、鳳啓介……
いや、これは前回はずしたギャグでしたね。(笑)
旧幕府脱走軍・陸軍奉行の大鳥圭介が設計したとも、軍事顧問団の一員だったフランス人ジュール・ブリュネだったとも言われているが、本当のところは四稜が、いや資料がない。
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上空から見た形は蝶が羽を広げたような形をしており、五稜に一つ足りない四稜の稜堡である。
すみません。
最近ドローン騒ぎで上空から写真を撮ると叱られますので、写した看板を拡大します。
……って、ドローンなんて持っていませんけど。
四隅に砲座を設けたらしいが、建物を作る暇はなかった。
地元の言い伝えによれば……
と、言い伝えも立派な歴史的資料となるが、旧幕府脱走軍工兵隊約200名と付近の村民約100名を動員して吉田兼好、いや昼夜兼行で数日たらずで築造されたらしい。
一夜で完成された!
と伝わってないところが、なかなかリアリティーがある。(笑)
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五稜郭と同じ洋式築造法とされるが、洋式といっても座るのもあれば立つのもあり……
いや、これは便座のことですね。
はい。
別名、稜堡式築城法のことで、中世ヨーロッパで発展した城塞形式の一つである。
稜堡(りょうほ)とは、三角形などに突き出した堡塁(ほるい)のことで、砲撃の四角を避けるために三角にした。
ん?
いや、砲撃の死角を避けるために三角に突き出したもの。
五稜郭はこれが五つあり、四稜郭はこれが四つある。
ですから、五稜郭、四稜郭と呼ぶんですね。
四稜とはすなわち四角形のことであり、四角を避けるため、いや死角を避けるために三角の堡塁を設けて、全体的な形が死角、いや四角となったという何ともややこしい話である。(笑)
★
この工法、ヨーロッパでは古くから知られていたものだが、これを体系化し完成させたのが17世紀に活躍したフランスの軍人建築家ヴォーバン(セバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバン)である。
よってこれらの稜堡式築城法を、別名ヴォーバン式要塞ともいう。
ルイ14世に仕えたヴォーバンはなかなかの切れ者で、酒はヴァーボンしか飲まなかった。
いや、これは嘘ですね。(笑)
ヴォーバンの要塞は落城することがないとまで言われ、その後の要塞築城に計り知れない影響を及ぼした。
五稜郭もご多分に漏れず、ヴォーバンの影響下にあった。
蘭学者の武田斐三郎はヴァーボンよりワイン派だが、オランダの築城書を参考に五稜郭を設計したと言われている。
しかし何のことはない、オランダの本だと思っていたのは実はヴォーバンの築城書のオランダ語訳だった。
そんなことは「知らんだ」と言ったかどうかは言い伝えにもないが、とにかくヴァーボンは強い酒、いやヴォーバンの影響は計り知れなかったという。
ちなみにヴォーバンの防衛施設群は、2008年登録のフランス世界遺産の一つである。
現代建築の巨匠ル・コルビュジェの作品群と一戦を交えて、見事にヴォーバンが推薦されたと言われている。
この時ばかりは酒嫌いのコルビュジェもヴァーボンをヤケ酒したという……
いや、そんな逸話は残っていませんね。
しかも、とっくに亡くなってるし。(笑)
★
五稜郭の5年後、旧幕府脱走軍によって造られた四稜郭も、ヴォーバンの影響下にあった。
ちなみに「旧幕府脱走軍」という言い方はあまり聞こえがよくないが、明治新政府に恭順せざるを得なかった徳川家の雪冤(無実であり、潔白を証明すること)を目的としており、当事者は名誉の行為ととらえていたという。
明治2年4月9日、新政府軍が乙部に上陸。
4月10日、土方歳三が二股口防衛に五稜郭を出陣。
4月12日、大鳥圭介が木古内に着陣。
5月8日、宗男の誕生日。
5月11日、新政府軍は箱館総攻撃を開始。
同日未明に四稜郭は攻撃され、退路を断たれることを恐れた旧幕府脱走軍は五稜郭へと敗走する。
最後まで戦った土方歳三は、同日に一本木で戦死。
5月17日、榎本武揚以下が降伏。
5月18日、五稜郭が開城され、箱館戦争は終結する。
なんと、蝦夷共和国の閣僚8人うち戦死したのは土方歳三だけだったという。
こうして四稜郭はその使命を終えることとなる。
京唄子の旦那、鳳啓介……いや陸軍奉行の大鳥圭介は、のちに東大工学部の前身である工部大学校の校長に任命される。
四稜郭だけに、多くの死角、いや四角、いやいや資格を習得したらしい。(笑)
めでたしめでたし。
↑ なんとなく四稜郭を縦にしてみたら、脳内メーカー(古い!)の絵柄のように見えてきました。(笑)
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おまけ①
函館に帰ると、必ず立ち寄る「まるきん焼きそば」です。
肉入り大盛り。
何にもありませんでしたので、どうぞ召し上がれ!(笑)
おまけ②
新幹線、グランクラスの和定食。
↑ ビールも、おまけ!
さりげなく、森真沙子さんの『箱館奉行所始末』(二見時代小説文庫)を紹介。
これだけあったら、何にもないと言われないよね。(笑)
まるきん焼きそば、メモしました。(笑
函館て有名なのかな、知らなかったです。
by knacke (2015-04-29 22:18)
>knackeさま
おお!
まるきん焼きそばは、小いけのカレーと並んで知る人ぞ知る、知らない人は全く知らない函館グルメの逸品です。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-04-29 22:25)
なにもない、なにもないと言われるのですが、私には雪があるように見えるんですが、それもかなりの量の雪があるんですが、これは「ある」ようなものではないんでしょうか?
ちょっと関係ないんですが、「函館塩ラーメン・五稜郭」ってお店を発見しました。まだ行ってないので、近いうちに行こうと思います。
http://tabelog.com/tokyo/A1318/A131809/13154596/
まるきん焼きソバ、私もメモすることにしましたが、ラッピだラッピと言われました・・・・ 函館ではラッピが重要らしいですね。
by カンパネルラ (2015-04-30 01:52)
新幹線の中でビール頼むとグラス出てくるのですか?
移動中のビールは格別の味がしそう!(下戸ですけど)
by imarin (2015-04-30 15:14)
>カンパネルラさま
そうでしたね、雪がありました。
でも、雪は雨と一緒だから、宗男にとっては「ある」と感じられなかった。(笑)
函館塩ラーメン・五稜郭、なんと八幡山にあるんですね。(笑)
出口製麺、函館ラーメンの定番です。宗男はあっさりした塩ラーメンが大好きです。
ラッピ? と聞いて、何の事だかわかりませんでしたが、ラッキーピエロのことなんですね。
残念ながら、宗男が函館に住んでた頃はまだありませんでした。
函館銀座(笑)にある大正時代に建てられた煉瓦造の建物に、ファサード一杯に大小様々のサンタクロースを飾ってるのを見たときには、愕然としましたけど。
婦女子には人気店のようですね。(笑)
>imarinさま
いえ、マイグラスです。
って、うそですよ。(笑)
ワインとかビールとか、何種類か飲み放題のようでした。
宗男は一杯しか飲まなかったけど。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-04-30 21:05)
おっ、宗男議員
グランクラスですか
流石ですね、公費ですか?
by 八犬伝 (2015-04-30 21:44)
>八犬伝さま
どちらになるのでしょう?(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-05-01 03:04)
四稜郭知りませんでした。五稜郭は歴史で習いました。一度は訪れてみたいです。
by soujirou-3 (2015-05-01 13:42)
今日は~^
前回の記事にて 思い掛けずに久々の記事更新でしたので
思わず嬉しさのあまり遂 調子に乗って・・感化されちゃった様です(笑)
長々コメント致してしまい 失礼致しました <(_ _)>
ハッキリ言って 四稜郭が有る事すら知りませんでした(;一_一)
これからも お時間ある時にでも又 色々日本国古来の建造物等々
今迄同様 緩やかなご説明にて よろしくお願いいたします
次回は 何処かな? 楽しみに致してますvv
by まつみママ (2015-05-01 18:05)
>soujirou-3さま
五稜郭は有名ですが、四稜郭はまだまだ全国区ではありません。
一度、寄ってみてください。
>まつみママさま
いえいえ、こちらこそコメントいつもありがとうございます。
大変励みになります。
>日本国古来の建造物等々
いやー、これはちょっと大げさかと。(笑)
はい、緩やかに参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-05-01 22:55)
おおお!四稜郭!
昔行きました。
よく残っていますね!
by ねじまき鳥 (2015-05-03 12:30)
>ねじまき鳥さま
過去記事、拝見いたしました。
志苔や戸切地までおいでで、すごいですね^。
敬服いたします。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-05-03 13:22)
相変わらず ダジャレが光っていますね!
四稜郭 ひとつ賢くなりました、有難うございます(^・^)
by aya (2015-05-03 21:29)
宗男節、健在ですね!
漫談実際にされているのでは?って思いますヽ(*´∀`)ノ
グランクラス、リッチですね~(ΦωΦ+)ホホゥ....
by rose-k (2015-05-03 21:48)
おぉお久しぶりでございますぅ
…って更新なされていたのですね
これから過去記事も拝見させていただきますです*
っと
すでにTシャッデーの続く昨今,
清々しい雪景色をありがとうございます**
ここ数年,戦争遺構や神社仏閣なんかも保存や修復の気運があって
お散歩魔のわたくしもとても嬉しく思いますぅ.
でも江戸城再建だけは絶対反対ですわ!
あれは「街の再建を優先」だとか「平和の時代に天守閣はいらないから」とか
これまで建て直さ無かった逸話が素敵ですのん.
by 高穂 (2015-05-04 04:33)
何もない四稜郭もいいのですが、どうせ宗男節を聞くならば函館デパート戦争ヲ詳しく伺いたいものです。なんて言っていたら、最後にさりげなく議員特権で「グランクラス」乗車をアピールされていますね(笑)
by opas10 (2015-05-04 13:52)
>ayaさま
ダジャレをほめてくださって、ありがとうございます。
最近は、ダジャレ以上に頭が光ってまいりました。(笑)
四稜郭、ネットで調べると結構有名でしたね。
>rose-kさま
いえ、漫談はしておりません。
これでも、結構固いお仕事です。(笑)
グランクラス、ちょっと見せびらかせてしまいました。
一生に一度のことなので。(笑)
>高穂さま
ずいぶんとご無沙汰しております。
ゴールデンウィークに雪景色ということで、
どうぞ、お涼みください。(笑)
江戸城債券、いや再建、宗男も反対でございます。
最近、やたらと世界遺産が増えるのもどうかと。……
>opas10さま
函館デパート戦争!
細かく読んでいただいて、ありがとうございます。(笑)
いやいや、グランクラスは議員特権外でございます。
飲み放題ということを知らず、ビール一杯しか注文しませんでした。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-05-05 20:04)
興味深い城郭です。でも、雪でほとんど真っ白ですね。
by 袋田の住職 (2015-05-06 05:26)
おはよう御座います。
五稜郭には2度行きましたが、四稜郭は知りませんです。
今では前方後円墳みたいな形が残ってるだけですね。
by 旅爺さん (2015-05-06 05:41)
こんにちは。
四稜郭は何もないようですが、雪にバフンッて倒れたら人型がたくさん作れそうです。
5月8日に書き込み無理そうなので早いですが…。
お誕生日おめでとうございます!(2日後)
by ゆき (2015-05-06 17:12)
五があれば四もある!
私も五稜郭は行きましたが、
四バージョンは全く持って存じ上げませんでした。
軍人さんのジュール・ブリュネが設計したとしたら、
二足のわらじで雇われだったか!?
みたいな見出しで三面記事ができそうです。(笑
まるきん焼きそば、おいしそーーー
by nicolas (2015-05-08 18:41)
>袋田の住職さま
そうなんですよ。
雪で真っ白で、ほんとに何もなく映ってしまいました。(笑)
>旅爺さんさま
五稜郭へ来ても、なかなか四稜郭へ来ない方が多いです。
来てもほら、ご覧の通り何もありませんから。(笑)
>ゆきさま
雪にバフン?
いえ、昔の函館では春先になるとバフン風というものが吹きまして、
それは雪の積もったところに馬車の馬糞が何層にも重なって積もり、
春になってそれが徐々に溶けて馬糞の風を吹き散らすと……
何層にもなっているので、いつまでも臭いがやみません。(笑)
お誕生日、ありがとうございます!
細かいところまで読んでいただいて恐縮です。(笑)
>nicolasさま
そうそう、四の五の言わずに、ぜひ四稜郭行ってみてください。(笑)
ブリュネさんは、常にスケッチブックを抱えていたと言われ、なかなか絵が上手だったようです。
二足のわらじで三面記事ですか?(笑)
二と三が出ましたので、一か八かで榎本軍に参加したようです。
いや、まだ六と七が出ませんね。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-05-09 10:36)
更新なさっておられたのですね!
遅ればせながらお誕生日おめでとうございます。
五稜郭タイプの要塞はヨーロッパにおける軍事革命!
だったようです。攻めにくいんですね、これ。
しかし、ウォーバンがつかえたルイ14世はおじいさんに似ても似つかぬ
バカ殿様で、度重なる戦争で国家財政をおかしくしてしまいました。
三代目って駄目なのよね。
函館いきたいです。やきそばおいしそう~。
by ヴェルデ (2015-05-18 20:24)
>ヴェルデさま
ありがとうございます。
ちなみに、三代目魚武濱田成という詩人がおります。
何の三代目かは知りませんが、確かに三代目を名乗っております。(笑)
函館は、観光にはいいところです。
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2015-05-28 11:55)
炸裂してるなぁ宗男節( >ω<)♡
案内板や東屋はさすがに新しくなってるのね。
前記事に書きそびれたけど、
函館郵便局(新川の本局)の、「日本初の丸くない風景日封印」
アレ、まだ使ってるのかなぁ?
導入の日に、記念台紙に押印してもらったんだ。
流石に四半世紀も前だから新しくなってるか…。
by 二兎丸 (2015-09-05 09:47)